「お客様が本音を言わない?」施術中の隠れたサインを読み取る方法
お客様が「気持ちいい」と言わなくても、満足しているか判断できる?
「強すぎるかな?」「弱いと思ってないかな?」
施術中、お客様が無言だと、そんな不安に駆られることってありませんか?
特に、新規のお客様や口数の少ない方に対しては、「このままで大丈夫かな」と不安になることもあるかもしれません。
実際、お客様は“本音”を口にしないことがよくあります。
それは「不満がないから」ではなく、「言いづらい」だけかもしれません。
だからこそ、セラピストには「言葉にされないサイン」を読み取る力が求められます。
そして、そのサインをキャッチして適切に対応できるかどうかが、「またお願いしたい」と思ってもらえるかの大きな分かれ道になります。
今回は、お客様の“隠れたサイン”を見逃さずに読み取る方法と、本音を引き出すための環境づくりのポイントをお伝えします。
お客様が本音を言わない理由
まずは、「なぜお客様が本音を口にしないのか?」を知っておきましょう。
その理由を理解しておくことで、セラピスト側の心構えも変わってきます。
「遠慮してしまう」(圧が強すぎても弱すぎても言えない)
「強いけど、文句を言うほどではないし…」
「ちょっと弱いけど、悪く思われたくないから我慢しよう」
多くのお客様は、よほど強く違和感を覚えない限り、自分から「もっとこうして」とは言いません。
施術者との関係性を気にして、遠慮してしまうのです。
特に初回や年齢の離れたお客様は、この傾向が強く出やすいです。
「そもそも何がベストかわからない」
「今の圧って普通なのかな?」
「他の人の施術と比べたことがないから分からない」
施術を受け慣れていないお客様ほど、「何が正解か分からないまま受けている」ということもあります。
その場合、自分が不快に感じても「こういうものなのかな」と思ってしまい、本音を伝えるきっかけを逃してしまいます。
「施術者に悪いと思ってしまう」
「せっかく一生懸命やってくれてるし…」
「今さら『違う』なんて言ったら申し訳ないかな」
セラピストの努力や雰囲気を感じ取ってしまい、たとえ違和感があっても“我慢してしまう”お客様は意外と多いです。
だからこそ、こちらから積極的に“気にかけている”姿勢を見せることが大切です。
施術中の隠れたサインを見逃さない!
お客様が口にしない分、体の反応や動きに注意を向けることで、満足度や違和感に気づくことができます。
ここでは、施術中にチェックしておきたい“隠れたサイン”を3つご紹介します。
呼吸の変化(リラックスしているかの判断)
・呼吸が深くなった
・吸う息と吐く息がゆったりしている
・口からフーッと息を吐くようになった
こうした変化があれば、リラックスが進んでいる証拠です。
反対に、呼吸が浅くなったり、息を止めるような仕草が見られた場合は、圧が強すぎる・痛みを感じている可能性もあります。
施術中は「呼吸の音」と「胸・腹の上下」にも意識を向けてみてください。
筋肉の緊張具合(本当にほぐれているのか)
・施術前よりも、筋肉がやわらかくなっているか
・触れた瞬間、力が入っていないか
・押したときに反射的に体が逃げていないか
こうしたポイントを意識しながら触っていくことで、「リラックスできているか」「圧が合っているか」を確認することができます。
無意識のうちに力が入っている場合は、「大丈夫ですか?」と優しく確認することで、お客様も安心して気持ちを伝えやすくなります。
手足の動き(微妙な違和感を感じているサイン)
・足の指がピクッと動く
・手が握られたまま開かない
・身体がわずかにズレる、ひねる動きが見られる
これは、圧の不快感や施術への違和感のサインであることがあります。
明らかに体が“逃げようとしている”場合は、その手技をやめる・力を緩めるなどの調整が必要です。
繊細な動きを観察するクセをつけることで、施術の“質”も格段に上がっていきます。
お客様が安心して本音を言える環境を作る
お客様にとって、「この人には正直に言ってもいい」と思えるかどうかは、セラピストの“雰囲気”や“接し方”に左右されます。
本音を言ってもらうために、以下の3つを意識してみてください。
質問の仕方を工夫する(圧の強さを確認するタイミング)
ただ「大丈夫ですか?」と聞くと、多くのお客様は「はい」と答えてしまいます。
・「少し強めだったかもしれませんが、大丈夫でしたか?」
・「もう少し弱めた方が安心感があるかもしれませんね」
・「今の箇所、少し違和感ありませんでしたか?」
このように、“相手が答えやすい聞き方”や“共感を含んだ言い方”を意識することで、本音を引き出しやすくなります。
また、確認のタイミングも大切です。
圧を変えた直後や、同じ部位を繰り返すタイミングで自然に聞けるとベストです。
安心できる雰囲気づくり(声のトーンや言葉遣い)
人は、「この人なら大丈夫」と思えたときに初めて本音を口にします。
・声のトーンは落ち着いているか
・言葉選びに丁寧さがあるか
・過度なフランクさや馴れ馴れしさがないか
お客様にとって、施術は“心も体もゆだねる時間”です。
だからこそ、「ここでは安心していいんだ」と感じてもらえる空気をつくることが大切です。
最初の数分のやり取りが、その信頼感を決定づけます。
施術後のフィードバックを聞く習慣をつける
施術が終わったあとの一言こそ、次につながる重要なタイミングです。
・「今日はこのあたりが特に張っていましたね」
・「今、身体の変化は感じられましたか?」
・「気になる点や違和感があれば、遠慮なく教えてくださいね」
こうした会話を当たり前のように取り入れておくと、お客様は「次回からも安心して相談できる」と感じてくれます。
たとえその場では何も言われなくても、帰宅後にLINEやSNSを通して感想をくれることもあります。
“聞く姿勢”を持ち続けることが、信頼関係を深める第一歩です。
お客様の言葉だけでなく、体のサインも読む力を鍛えよう!
セラピストの仕事は、「話を聞く力」と同じくらい「感じ取る力」も大切です。
お客様が言葉にしない本音は、呼吸・動き・緊張など、体のさまざまなサインにあらわれています。
・目の前のお客様に集中する
・“気になる反応”を見逃さない
・少しでも違和感を感じたら、すぐ確認する
こうした習慣を積み重ねていくことで、自然と“信頼されるセラピスト”へと成長していくことができます。
「察してくれるから、安心できる」
「言わなくてもわかってくれるから、またお願いしたい」
そんなふうに思ってもらえるセラピストを目指して、日々の施術に“観察”と“想像”のスパイスを加えてみてください。
あなたの“気づき”が、お客様の満足度を大きく変えていきます。