「お客様とどこまで仲良くすべき?」セラピストが気をつけるべき距離感とは
お客様と親しくなりすぎるのは危険?
「いつの間にか、仲良くなりすぎたかもしれない」
「お客様との関係、ちょっと曖昧になってきた…」
「施術はスムーズでも、接客後にモヤモヤすることがある」
セラピストとして働いていると、「お客様とどのくらい距離を縮めていいのか?」という悩みにぶつかることがあります。
施術を通して信頼関係が生まれるのは自然なことですが、親しさが過ぎると、思わぬトラブルやストレスにつながることも。
「仲良くする=良い関係」とは限らないのが、この仕事の難しいところです。
今回は、お客様との距離感に悩むセラピストのために、「心地よい関係性を保つコツ」と「境界線の引き方」をまとめました。
大切なのは、気を使いすぎず、でも甘えさせすぎない、バランスの取れた距離感を見つけることです。
お客様との距離感が問題になるケース
セラピストとお客様の関係性が曖昧になってくると、次のようなトラブルやストレスを引き起こすことがあります。
プライベートの話をしすぎて、関係が曖昧になる
施術中の会話が盛り上がりすぎて、いつの間にかプライベートな内容に踏み込みすぎてしまうことがあります。
・お互いの恋愛や家族の話
・休日の過ごし方や趣味
・深刻な悩み相談のような内容
一見すると信頼関係ができているように見えますが、こういった話題が続くと「セラピスト」ではなく「友達」や「相談相手」のような立場になってしまい、本来の施術目的が薄れてしまいます。
また、聞かされる側が精神的に負担を感じてしまうケースもあります。
SNSでのやり取りが増え、トラブルにつながる
お客様とLINEやInstagramなどでつながると、予約のやりとりがスムーズになるというメリットもありますが、トラブルの種になることもあります。
・営業時間外にメッセージが来る
・プライベートの投稿にコメントされて困る
・既読スルーが気まずくなる
一度つながってしまうと、「断るタイミングを失った」「思っていたより関係が密になってしまった」と感じる人も多くいます。
便利さの裏には、“関係が近くなりすぎるリスク”があることを忘れてはいけません。
お客様が「友達感覚」になり、無理な要求をする
仲良くなったお客様から、
・「今日だけちょっと長めにお願い」
・「◯時じゃなくて、閉店後にやってくれない?」
・「次回、割引できない?」
といった“軽いノリの要望”が出てくることがあります。
一度でも応じてしまうと、「この人はOKしてくれる」と思われ、次第にエスカレートしていくケースも。
関係が親しいからこそ、断りにくくなってしまう。
でも、それが自分の働きやすさや本来のルールを壊してしまっては、本末転倒です。
適切な距離感を保つためのポイント
では、お客様と良い関係を築きながら、ほどよい距離感を保つにはどうしたらいいのでしょうか?
ここでは、現場で意識したい3つのポイントを紹介します。
施術中の会話は適度に、聞き役に徹する
会話が好きなお客様には、つい合わせて話を広げたくなりますが、基本的には「聞き役」に徹するのがおすすめです。
・相手の話に共感しながらも、自分の話は最小限に
・話題を“施術”や“健康・美容”などの領域に戻す
・プライベートな質問には「私はあまり話せることないんです」とやんわり距離を取る
話す量より、「聞く姿勢」のほうが、お客様に安心感を与えることができます。
過度な共感やプライベートの共有は、関係を曖昧にする原因になるので、バランスを取りながら会話を楽しみましょう。
施術が終わったら、お客様との関係をリセットする意識を持つ
施術が終わったら、「ここで一区切り」という意識を自分の中で持つようにしましょう。
・施術後は、お礼と次回案内でスッキリと終える
・必要以上の世間話や立ち話はしない
・次回の来店までは、適度な距離を保つ
この“リセットの習慣”があると、お客様も「この人との関係はここまで」と無意識に理解してくれるようになります。
毎回の施術で、“始まりと終わり”のメリハリをつけることが、良好な関係を長く保つコツです。
仕事とプライベートを混同しないためのルールを決める
あらかじめ、自分の中で「これはNG」というルールを持っておくと、迷ったときにも判断しやすくなります。
たとえば…
・個人的な連絡先は教えない(仕事専用アカウントを使う)
・営業時間外の返信はしない
・プライベートなSNSにはお客様をフォローしない
こうした“線引き”があることで、お客様との関係も自然と整ってきます。
自分を守るためのルールは、“壁”ではなく“安心して施術を提供するためのガイドライン”です。
適度な距離感が、お互いにとって心地よい関係を作る!
お客様との関係は、“近ければ良い”というものではありません。
むしろ、適度な距離があるからこそ、信頼感や安心感が生まれるのです。
・お客様は、心地よく施術を受けられる
・セラピストは、無理なく自然体でいられる
そのバランスが取れたとき、初めて“本当に長く続けられる関係”が築かれていきます。
「仲良くなりすぎたかも」と思ったら、少し引いてみる。
「壁を感じさせてしまってるかな」と思ったら、少し柔らかく接してみる。
その“微調整”ができるのが、プロのセラピストとしての成長でもあります。
気持ちよく施術をするために、気持ちよく施術を受けてもらうために。
今日からあなたなりの、心地よい距離感を見つけてみてください。
