セラピストが陥りがちな「燃え尽き症候群」から抜け出す方法
好きだった仕事なのに、最近やる気が出ない…?
「前はあんなに楽しかったのに、最近は仕事に行くのがつらい」
「誰かのために頑張る気力が湧かない…」
「施術が“仕事”としてしか感じられなくなってきた」
そんな風に感じているセラピストの方はいませんか?
最初は「人を癒したい」「誰かの力になりたい」と思って始めた仕事だったはずなのに、ある日ふと、心がポッカリと空いたような感覚になることがあります。
それは、いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」かもしれません。
セラピストは、人の心や身体に寄り添う仕事だからこそ、自分自身のケアを後回しにしがちです。
でも、心が疲れてしまっては、誰かを癒すことなんてできません。
今回は、燃え尽き症候群になりやすいセラピストの特徴と、そこから抜け出すためのヒントを一緒に考えてみましょう。
燃え尽き症候群になりやすいセラピストの特徴
燃え尽き症候群は、特別な人だけに起きるものではありません。
真面目で、一生懸命で、頑張り屋さんほど、知らないうちに心をすり減らしてしまうことがあります。
ここでは、私自身や周囲のセラピスト仲間の体験も踏まえながら、陥りやすい特徴を整理してみます。
施術をすること自体が義務のように感じる
本来、施術は「好きだから」「やりがいを感じるから」やっていたはずなのに、いつの間にか「やらなきゃ」「こなさなきゃ」に変わっていませんか?
忙しすぎるスケジュール、指名プレッシャー、目の前のお客様の期待に応え続ける日々…。
いつの間にか、気持ちが追いつかなくなってしまうこともあります。
気づいたら、「今日もあと3人か…」「早く終わらないかな」と考えてしまうようになっていたら、それは心が疲れているサインです。
お客様に感謝されても心から喜べない
「ありがとう」と言われても、どこか上の空。
前はその一言が嬉しくて頑張れていたのに、今はそれすら響かない…。
そんな状態になっているとしたら、それはもう「やりがいの麻痺」が起きているのかもしれません。
“感謝されているのに嬉しくない”という自分に罪悪感を持ってしまう人も多いですが、それだけ頑張りすぎてきた証拠でもあります。
心が疲れすぎると、素直に感情を感じることが難しくなってしまうのです。
「頑張っても収入が変わらない」と感じる
セラピストという仕事は、歩合制やシフト制の影響で、どれだけ頑張っても収入に反映されにくいことがあります。
新人の頃はやりがいや学びがモチベーションになっていたとしても、数年たつと「ずっと同じだけ働いて、同じだけ稼ぐのか…」という閉塞感を覚えてしまうことも。
報酬だけがすべてではないとはいえ、「報われない」という感覚は、心の疲弊に大きく影響します。
「頑張る意味が見えない」という状態は、燃え尽きへの第一歩になりやすいのです。
燃え尽きを防ぐためのリフレッシュ法
一度燃え尽きてしまうと、立ち直るまでに時間がかかることもあります。
だからこそ、大切なのは「手前」で気づいて、自分をリフレッシュさせてあげること。
ここでは、心が疲れたときに試してみたい、3つのリフレッシュ方法をご紹介します。
施術以外の楽しみを見つける(講座・旅行など)
日常が仕事だけになっていると、どうしても視野が狭くなり、心が窮屈になります。
そんなときは、施術とはまったく関係のない趣味や楽しみを持つことが、心のバランスを保つうえでとても効果的です。
・ちょっとした旅行に出る
・好きなカフェでゆっくりする
・美容や料理などの習いごとを始めてみる
「仕事以外にも自分を満たしてくれるものがある」という感覚があると、仕事へのエネルギーも自然と戻ってきます。
また、仕事につながる講座や勉強会に参加するのもおすすめです。
“学ぶこと”は、気持ちの新鮮さを取り戻してくれます。
お客様との距離感を適切に取る
「お客様に尽くさなきゃ」「なんでも受け入れなきゃ」と思いすぎてしまうと、心がすり減ってしまいます。
セラピストは、優しくて人に合わせられる人が多いからこそ、必要以上に相手に入り込んでしまうことがあります。
でも、適度な距離感はお互いのためにも必要です。
・言われたことを全て真に受けすぎない
・休憩時間はしっかりと自分のために使う
・自分の限界ラインを見極めて、必要なときは「できません」と伝える
“壁”ではなく、“クッション”のような距離感を意識してみてください。
あなたが心地よく働ける環境づくりは、あなた自身にしかできません。
新しい技術を学び、モチベーションを回復する
「最近、同じことの繰り返しばかりで刺激がない…」
そんなときは、新しい技術や知識に触れることで、仕事へのモチベーションがぐっと高まることがあります。
新しい技術を習得することで、「また誰かに役立てる」「もっと自分を成長させたい」という前向きな気持ちが生まれてきます。
新たなチャレンジは、小さな一歩でも、心をリセットする力があります。
セミナー、資格取得、他業種との交流など、「学びの場」に足を運ぶことも、視野を広げるきっかけになります。
セラピストとしての情熱を取り戻すためにできること
「疲れた」「もう辞めたい」と思ったとき、まずは無理に頑張ろうとしなくて大丈夫です。
大切なのは、「心が疲れていることに気づくこと」。
そして、「自分を休ませてあげよう」と思えること。
仕事に対する情熱は、消えたわけではありません。
一時的に見えなくなっているだけです。
立ち止まって、自分を大切にする時間をつくる。
施術者である前に、「一人の人間としてのあなた」をいたわることが、回復の第一歩です。
そしてまた、「やっぱりこの仕事が好き」と思える日が、きっと戻ってきます。
そのときのために、今は自分を労わることに集中してみてください。
セラピストとしての情熱は、ちゃんとあなたの中に残っています。